05/02/2025

老人性うつと認知症の違い


老人性うつと認知症は、高齢者に見られる症状だが、根本的に異なる問題だ。
老人性うつは心の病、つまり気分障害の一つであり、悲しみや無気力、生きがいを感じられない状態が特徴だ。
一方、認知症は脳の機能が衰えることで記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障を来す状態のことを指す。
どちらも高齢者に多いという点では共通しているが、発生の原因や治療方法は異なる。
老人性うつは、孤独や健康の悪化、大切な人を失うなどの生活の変化が原因となりやすい。
心の問題であるため、カウンセリングや抗うつ薬による治療が有効だ。
一方、認知症は脳の神経細胞がダメージを受けることで起こる。
アルツハイマー病がその一例だ。
認知症の治療は、症状の進行を遅らせることが主な目的で、現在のところ根本的な治療法は見つかっていない。

また、老人性うつと認知症は、症状が似ているために混同されやすい。
例えば、どちらの状態でも物忘れが見られたり、日常的な活動への興味が失われたりすることがある。
しかし、重要な違いは、老人性うつでは本人がその状態に対して悲観的であったり、自己嫌悪を感じたりすることが多いのに対し、認知症の場合は自分の状態に気づかないことが多いという点だ。
老人性うつと認知症を正確に区別するためには、専門医による診断が不可欠。
特に、老人性うつは適切な治療を受けることで症状が改善することが多く、認知症の初期症状と間違えて放置してしまうと、本来回復のチャンスを逃してしまう恐れがある。
老人性うつでも認知症でも、早期発見と適切な対応が重要だ。